今年は雪解けが早かった上に初夏を思わせる陽気が続いたせいで、開花も1週間か10日は早まったようだ。われわれも追い立てられるようにウォークを重ねてきた。6月は野鳥のさえずりが最も活発な時期である。なのに実に低調なのが気になって仕方がない。草原に比べ、森林の静けさが不気味でもある。例えば原始林の面影を残す野幌森林公園に行っても、キビタキ、センダイムシクイなどの声が散発的に聞こえてくるだけだ。30年位前だったら、近く遠くのさえずりで賑わっていたものだ。野幌森林公園だけでなく、どこへ行ってもこの傾向は変わらないのである。

レイチェル・カーソンが「サイレント・スプリング」と言ったのは、半世紀前のアメリカでのこと。彼女が告発したのは農薬による生物の汚染であった。では今起きている“サイレント・フォレスト”の原因は一体何なのだろうか?

静まり返った森林の中を歩いていても楽しみが半減してしまう。花と野鳥のさえずりに接しながら歩いてこそ、フットパス歩きの真骨頂なのに、と今更ながら自然の恩恵を知ることとなった。