5月26日、2日の2日間、黒松内町のブナイベントに呼ばれた。歌才ブナ林が昭和3年に国の天然記念物に指定されて90年を迎えたのを記念した「キックオフ」イベントである。キックオフとは、100周年を見据えた記念行事という意味が込められている。 初日、北大苫小牧研究林長の日浦勉教授とともに講演をした。30数年、黒松内と関わってきた私は、そのいきさつから始め、現状そして将来像について語った。 30年前に黒松内といっても、これといった特色はなかったのではないか?その中で北限のブナ林は最大の財産であった。今日、黒松内には美味しい酒、ミネラルウォーター(水彩の森)、道の駅のピザやパン、手作りの和菓子などの旨い飲み物や食べ物が揃っている町として知られるようになった。それ自体は喜ばしいのだが、もっとブナにこだわってもいいのではないか。例えば市街地にブナのシンボルツリーや並木、生垣などあったらいいとは以前から感じていたことだ。 町内各所にあるブナ林を条例に基づく町の天然記念物に指定するなどもそのひとつであろう。特に強調したいのは、美味しい水や食べ物、アユなどはこの町でなくてもよいし、札幌にだってあっておかしくない。ただ北限のブナ林だけは、日本広しと言えどもここしかないという思いを100年に向けもち続けて欲しいという点である。

歌才自然の家前のブナ(撮影:齋藤均)


イギリスでよく見かけるブナの生垣(撮影:小田高史)


札幌市百合が原公園のブナの生垣