今年はクマの当たり年だと言っても喜ぶべき事態ではない。冬眠を前にクマは食い溜めをして脂肪を蓄える必要がある。秋の内に体重を30%以上増やさなければならないのだ。TVなどに映るクマの必死さが見て取れる。例年になく子グマが多く市街地に現れているのは何を物語っているのか?
ヒトの生活域に現れれば、クマとヒトが接触する場面も増えるのだから事故につながるケースも出てくる。そうならないためにヒトの側が防衛する必要がある。例えば朝夕の行動は特に注意する。音や声を出す。単独行動は控える等々、これまで事あるごとに言われてきた基本的な対策を実践すればかなり事故は減らせる。
個人レベルにとどまらず地域レベルの対策も求められる。住宅地周辺のササや草を刈ったり、庭や家庭菜園にクマが好む作物や果実を植えないようにすることも考えなくてはいけないだろう。
更にはゴミステーションも対象になり得る。生ゴミの中にはクマのエサになる食べ物も混じっている。であればゴミの捨て方にも踏み込むと同時にゴミステーションが荒らされない構造を検討する必要があるだろう。
もっと掘り下げていくと、山にクマが食べる実のなる木を育てる発想があっても良いはずだ。半世紀以上前に国の政策として全国規模で大々的に展開された拡大造林により、広葉樹を伐採してカラマツ、トドマツなどの針葉樹だらけにしたことがクマを始めとした野生動物の居場所を奪ったのは間違いないのだから。