前回は映画の話題を取り上げたので、今回もまた書いてみたい。年末に松雪泰子、豊川悦司主演の標記映画を見た。昭和30年代、常磐炭鉱の閉山に伴い、雇用確保のためハワイアンセンターを作る計画が持ち上がった。そこではフラダンスを踊るダンサーを急速養成しなくてはならない。その過程の喜怒哀楽を描いたものだ。

ストーリーもさることながらある一点に釘付けになってしまった。それは・・・炭鉱に住むフラダンサー候補の母親を見た時あれどこかで見た人だな、と思ったが、すぐに思い出せなかった。何度か見ている内にあっと声が出そうになった。今では富司と名乗っている、藤純子ではないか。昭和の終わり頃、高倉健としばしば共演して血踊らせた女優さんとは言わずもがなだ。一世を風靡した大女優がモンペをはいて炭鉱のかあさんに成りきっているのだ。涙が出そうになった。大女優と言われた人ほど、こんなおばさん役はやなないだろう。主役しかやらないと宣言した女優がいたっけ。でも廃れていく炭鉱にあって必死に生きながら心意気を失わない姿は若き日の緋牡丹お竜と通じるものがあった。

常磐ハワイアンセンターは10年前の東日本大震災の際も奮闘する踊り子たちが話題になったのでご記憶の方も多いだろう。フットパス歩きにかこつけて今度行ってみたくなった。それもこれもコロナ次第ではあるが。